ブリード日記
2006年 9月 16日
菌床容器の直径と高さで羽化してくる成虫のサイズがかなり変わってきます。5年前にギラファ(フローレス)の幼虫を9頭揃えて
PP850(直径約93mm)に6頭、PC2000(オリジナル容器・直径約130mm)に3頭入れて実験してみました。(全頭兄弟、ほぼ同g)
結果は86〜87mm6頭、109・111・112mmでした。全頭完品でびっくりしました。これほど差が出るとは。全種とは思わないですが、
ほとんどのクワガタ・カブトは狭い容器だと抑制作用が出るのではないかと思います。高さと言うのは縦に溶室を作る種があるからですが、
オリジナルで高さのある容器を作ってみたのですがうまくいきません(もう少し径のあるものを作ればよっかったと後悔してます)。
PP容器を寝かせてみても良い結果は出ませんでしたが、斜めにしたものは少し結果が出ました(グラン84mm・ホペイ79mm)。
見事に縦に溶室を作りました。これらを参考にしていつかびっくりするような生体を出したいです。
(言葉では分かりずらいのでまたこの欄に写真載せておきます。)
2006年 9月 7日
今年になって、マレーアンテ(キャメロンハイランド)3系統セットして全て種無しでした。過去にW♀からの累代で(マレー)F2で♂が
全て種無しだったことも有りました。オオクワに至っては、天然幼虫(自己採集)の♂が生体になって種無しだったことも有りました。
自然界でも狭い範囲で生息している虫は、累代が難しい状況にあるみたいです。それでも絶えないで生息していられるのは、
天然のエサ(材・マット)で育つからではないかと常々思ってました。前にも書きましたが、F11まで累代した山口県産オオクワは、
F5から一部材飼育を始めて、F10まで試してF8からは、菌床飼育のオオクワより大きくなり全て種が有りました。F10の時
1♂幼虫しか採れなくて、材飼育を断念したらその♂に種が無くF11で累代出来なくなりました。添加剤の影響で異常肥大した
生体や、シイタケ菌などのホルモン系栄養素の影響を受けた生体は種が薄くなっていくような気がしてなりません。ブリードの楽しみは
大きい生体を出すことなので菌床飼育は絶対やめませんが、今年から一部発酵マットと自然発酵マットを混ぜたマットで飼育を始めました。
見る楽しみの無い材飼育は私には無理ですが、平気な方は材飼育が一番のお勧めです。
(菌床飼育であまり大きくならなかった生体(菌床の影響を受けなかった?)で種の無かった生体は今までいなかったので(アンテ)
種として退けておく事も一考かなと思っています。)
2006年 8月 23日
4年ぐらい前から、材の採り出しが面倒で材産みのクワガタの産卵セットが遅れぎみで、半分は失敗してました。(クワガタが死んで)
2年半前からマットに産卵させようと、いろいろ実験するようになりました。アンテ・ヒラタ・ノコギリ・ホソアカ系は、前からマットのみで
産卵させていましたが、オオクワガタ・シカ・フタマタ系はなかなか産卵しません。ヨーロッパオオクワ・ムシモンオオクワなど小型の
オオクワは産卵しましたが、それ以外は採れても1個2個でした。半分諦めかけていた去年の暮れに、シェンクリンクのセットを見ると
マットに卵が4個見えました。一様その卵が孵化するまで待って採り出ししましたが、22幼虫2卵採れて少し希望がわいてきました。
今年はオオクワ・ホペイ・グランディスなどもマットだけで産卵させる目標を立ててますが、まだセット出来ていません。
これから頑張ってセットして良い結果が出たらまた記します。(ちなみにシェンクのセットは発酵マットでは有りません。)
2006年 4月 13日
交尾の確認、これだけは欠かしたことはありません(ブリードを始めて3年間は別です)。
ブリードの基本中の基本だと思います。よくセットの中に “♂♀放り込んどけばいい” と言われる方がおられますが、
それで幼虫が採れるのは運が良かったからだと思います。♀がその気にならないと広いセットの中では♀の方が素早いので、
交尾しなかったり、最悪♀が殺されてしまいます。目の前で交尾させて別々にした方が安全です。
私の場合は小さめの容器で霧吹きを用意して交尾させます(絡み合ったりした時霧吹きをかけると外しやすいし、
攻撃的になった時の♂にも有効です)。しつこく♀のおしりを嗅がせて2時間ぐらいは粘ります。それでもだめなら日を改めます。
交尾を目の前で確認すれば最悪幼虫が採れなかった時、その原因が分かりやすくなります。
めんどくさいですが有効なので交尾だけは自分の目で確認するようにして下さい。
(目の前で♀を殺されることがあるのでそれだけは要注意です。ヒラタ系は一発で殺す場合があるので特注です。)
2006年 4月 9日
12年前ぐらいから生体には栄養水をやるようにしています。マットの加水も全て栄養水です。その当時のゼリーは、
ほとんど水と変わらなかったのでそれなら、ゼリープラス栄養水の方が生体が長生きすると思ったからです。
最初はリポビタンDとポポンS(液体)を天然水で薄めて使用していました。現在ではアリナミンL(必須アミノ酸12種・タウリン・B1B2B6・
クエン酸・その他)をアルカリイオン水で薄めて使ってます。延命効果はある様な気がします。私が作っている人工溶室はティッシュを
水分で固めていく方式なので、栄養水で作ると体が固まるまで安心して置かれます。アリナミンLその物は高価ですが、
二十分の一以上薄めて使用できるので栄養ドリンクより安価でいけます。
2006年 4月 5日
オオクワガタの飼育を始めて材、マット飼育から菌床飼育が主流になった頃から幼虫の重さを、えさ交換ごとに計るようになりました。
初めて30gUPの幼虫が出た時は胸が高鳴って、その夜は眠れませんでした。菌床飼育に慣れ30gUPの幼虫が数多く出るようになって、
それ以降えさ交換の度に縮んでいく幼虫を見て、どうにか成らないものかと試行錯誤の末、30gUPの時によう化させれば良いのではないかと
思い、いろいろ実験した結果、急激な温度変化をつける事により、よう化させる事に成功しました(7°C差)
初めて試みた幼虫が8ヶ月羽化で76mmでした(その当時78mmがギネスと言われてました)。“やった〜”と思い次々に試しましたが、
結果が出たのは結局その個体だけでした(アンテ・オオヒラタも散々な結果でした)。その個体も1年2ケ月で落ちてしまいました。
最終的に出た結論は(私的に)オオクワだけでなく他のクワガタ・カブト・ハナムグリ系も、良質なエサを低温飼育等でじっくり食べさせて
よう化までの期間を長くして、よう化時の縮みを少なくさせる事が大きくて丈夫な個体を出す1番の方法だと思います。
(菌とオガの持ちの良い菌床に〔MT152菌・ヒラタケ菌など〕添加剤をたっぷり加えたものを使用すると短期間で大きい個体がでる確立が
高いようですが〔ある程度時間が経った後の急激な体重増加または、急激なオガの劣化により、よう化が早まるようです。ですが、添加剤
等によって、よう化前までの体重が異常に多いので縮んでも大きい個体が出ることがあるようです〕確率的に死亡率が高かったり、種が
無かったり、薄かったり問題も多いようです。)
2006年 3月 24日
市販されているマットは殆ど使用してきましたがその中でも1番良かったのがZマットです。
水分含有率はどのロッドでも一定で、ペーハーも一番中性に近い値でした。産卵・飼育に特別良い訳ではないのですが、
とにかくオールマイティーで便利なマットでした。ですが高額すぎて大量に仕入れることが難しくとても苦労しました。
ブリードの主体がアンテなのでアンテ用マット(完熟・微粒)だけでどうにかならないかと考えていろいろやった結果、
しっかり自然発酵させた成虫用マットを混ぜて使用したら良い結果がでました。もともとアンテマットでも有効なクワガタ・カブトでも、
幼虫飼育後のマットや菌床となると劣化が急激で、最初は良い結果が出ていても後で縮んだり落ちたりしました。
ですが、自然発酵させた成虫用マットを混ぜることにより急激な劣化を抑えることが出来、新しいマットにちかい結果が出ています。
色虫系でも量を増やすことで対応でき、かなりの節約になっています。
あまり種類をやらない方にはお勧めではないですが(やっぱりそれぞれに合った新しいマットの方が有効です。)いろいろな種類を
ブリードしてみたい方にはお勧めです。ちなみに3年以上自然発酵させた成虫用マットはそれだけでもカブトは大きくなるみたいですよ。
クワガタではメンガタ(メリー)は自然発酵させた成虫用マットのみで57,5mm(自己ギネス)でました。
幼虫飼育後菌床 細かく砕いて2週間後の菌床 それから1ヶ月後の菌床
アンテマット(産卵セット後) 自然発酵させた成虫用マット 成虫用マット
これらのマットをミックスしていろいろなマットを作ってます。
2006年 3月 22日
クワガタ・カブトのブリードはお金が掛かります。生体や幼虫を購入した時は高価でも嬉しさが先にたってその時は案外気にならないのですが、
菌床・マット代は異常に気になります(私だけ???)。ブリードを始めた頃は発酵マットは売ってなかったので全て自作のマットで、
マットは3,000〜10,000円、添加剤は1,500〜3,000円で購入してました(極少量でほとんど薄力粉。その当時は無知でした)。
いろいろな発酵マットが売られるようになってブリード種も増え4〜5種の発酵マットを使っている頃は今の飼育費の3倍近く掛かってました。
菌糸ビンも800cc〜で♂♀判別なしで全て1頭管理でした。現在ではアンテマットと成虫用マットのみ購入してその他はリサイクルです。
菌床飼育も1〜2令は♀はPP850に3頭管理、♂も2〜3頭管理です(お勧めはしません)。
それなりに結果は良好なので詳しくまた記します。
2006年 3月 18日
アンテを始めた頃、羽化不全に泣かされました。マット飼育のときから大きい個体ほど確率が高く
菌床飼育に変わってからは羽化不全が激増しました。瓶やボトルを反対にしたり、露天掘りをして対応しましたが完全ではありませんでした。
(露天掘りはかなり有効ですが、ボトルや瓶は口が小さいので緊急時に対応しにくいことと、乾燥しすぎが若干気になります。)
最終的に溶室に変わるものを自分で作ろうと思い試行錯誤のうえ出来たのが今使用している人工溶室です。
(その当時はオアシス等の人工溶室が無かったので。)
詳しいことは次の機会に写真を付けて説明します。(安価で簡単に作れます。)
2006年 3月 15日
1年前ぐらいから新しい種菌でブリードしてます。シワタケ菌と言う種で、30種以上で実験したうえで
結果の良かった2菌です(MT160・MT152)。1番の特徴としては菌のまわりが速いのに(2週間でブロックが仕上がります。)
劣化はし難い所です。特にMT152は1年ぐらい経過してやっとアンテやヒラタに使える状態です。(室温18℃〜20℃で)
都合上、温度管理出来ない方にはお勧めの菌床です。MT160はオガの劣化は早いのですが菌が表面に張り付く特徴があり、
水分が溜まりにくいので良い状態が長く継続します。なので根食いのアンテ・ヒラタ・ノコギリにはとても有効です。
なんと言っても一番助かるのは他の菌床と違いキノコを形成する事がほとんど無いことです。
羽化不全を起こしやすいアンテでもある程度安心です。(気になる個体は人工溶室の方が絶対安全です。)
これからMTシリーズで羽化した個体が数多く出てくるので写真も載せていきます。
2006年 3月 10日
2年前までは2階建ての一軒家(自宅から車で一時間半)を借りて好き勝手にブリードしてきましたが、
体力的都合で今は自宅に六畳のスズキハウスを置いてブリードしています。なので幼虫と成虫管理が目一杯で、
産卵セットが思うように出来ません。今までは大ケースか特大ケースを使用していましたが、現在は中ケースよりも小さい
C・BOXで産卵セットしてます。成果としては変わらないですがとにかくめんどくさいです。
去年の暮れから今年3月までアンテは12産地で最高68頭、最低42頭(1セット目)2セット目も幼虫と卵が見えてます。
ですが他のクワ・カブはやりっ放しでホソアカ系・ランプリマ系・小型のヒラタ系・ムシモンオオクワ・パラレリピドゥスオオクワは、
ほとんどセットの中で成虫になってました。これからアンテ30セット・大型ヒラタ15セット・オオクワ系15セットその他20セット
残っているのですが、アンテのセット以外もしっかり管理して数多く幼虫が採れる様に努力したいと思ってます。
いつもの幼虫取り出し風景です(アンテ)。C−BOXを大きめのトレイに一気にひっくり返してプリンカップ系の容器にキープします。
♂♀の判別をして(2令〜)菌糸等に入れ替えます。