昆虫標本の作り方

 昆虫標本は、基本的には形を整えて乾燥すればよいだけで、決まった方法はありません。しかし、標本と呼べるには

正確データラベルが付いていること、同定(種を識別すること)に必要な足や触角が見やすくなっていることが、

最低条件です。飼育しているクワガタやカブトを殺して、標本にすることは抵抗がありますが、美しい標本を作るには

酢酸エチルなどで殺して標本にするのが好ましいようです。死んでしまうと、腐敗したり、カビが生えたりして

しまうからです。ここでは、飼育中に死んでしまったクワガタを標本にする方法を紹介します。

(私自身は、殺して標本にしたことはありません。でもお気に入りのクワガタやカブトを綺麗な形で残して、いろいろな

人に見てもらうのも一考かなと思います。実際、私のお気に入りのクワガタやカブトで、完品の標本はありません。)

@熱湯に入れる。

死んでしまったクワガタは、体が柔らかくても乾燥して固くなっていても、

とにかく熱湯のなかに入れます。そうすると、クワガタについているゴミや

害虫が取れます。約1時間もつけて置けば、柔らかくなります。この時、

体がバラバラになることがありますが、余程腐敗していない限り、

木工ボンドで修理できます(腐敗しているものは、標本にはなりません)。

Aティシュペーパーの上で水分を取り、ハケでゴミを落とす。

熱湯から出したクワガタをティシュの上に置き、水分を吸い取らせます。

このとき、ハケで細かいゴミもきれいに落とします。ゴミがついていると、

後からカビが生える原因になるのでしっかり落としましょう。きれいに

なったら、指で大アゴや足をある程度まで、整えます。指で足が動かな

ければ、もう一度熱湯の中に入れて作業を繰り返してください。

 B胴体)を固定する。

展足板(ペフ板)の上に乗せて(発泡スチロール等でも可)、大アゴ・首

・胴体の3ヶ所を針で固定します。右肩部に直接昆虫針を刺して固定

しても良いと思います(ドイツ箱等に保管の場合)。大アゴの開きぐあ

いは、個人の自由ですが、左右対象 になるように固定しましょう。

 

(この位置に昆虫針を刺す(ドイツ箱等に保管する場合です)。)

 

C足を固定する。

前足・中足・後足をそれぞれ左右対称になるように針をクロスして

押さえるように刺し、固定します。

 

 

 

 

D足のツメを固定する。

すべての足のツメを下に向けて、開くように針で固定します。

 この作業をするだけで、きれいな標本になります。

 

 

 

 

 

E触角(しょっかく)を整える。

触角を左右対称にして、大アゴと同じ高さに整えます。

全体のバランスを確認して全体のバランスが悪ければ

整えます。ラベルも忘れずに標本の側に付けましょう

(ブリードしたクワガタ・カブトは、学名・産地など、体長を

加えても良いかもしれません。天然物を採集した場合

必ず日付け・採集者も記入しておいてください。)

 

F乾燥させる。

大きなダンボール箱などに、入れて乾燥させます。その中に乾燥剤(シリカゲル)と防虫剤(パラゾール)も入れて、

風通しの良い出来れば暗い場所で、約1ヶ月間、放置します。

 

G展足板から針を取り除く。

まず、1番壊れやすい触角の針から慎重に針を抜いていきます。

後は、展足した順番と反対の順番で針を抜いていきましょう。

 

H昆虫針を刺す(ドイツ箱等に保管の場合)。

右肩に昆虫針を刺します。オオクワガタなどは、とても上翅(じょうし)が固いので、針が曲がったり、

指を傷つけたりしないように注意しましょう。最後に、ラベルも昆虫針に刺します。

 

I小さめのケースなどで単体・ペアなどを保管する場合

私自身は、トランプケースのM(普通サイズ)とLを使用しています。最近では、100円ショップなどで

いろいろなケースがあるので試してみてください。下地が透明なケースの場合は、目立たないので

白いラベルなどを貼り付けます。標本の固定はケースにクッションになるような物を貼り付けて、

そのクッションに木工ボンド等で標本を固定すれば充分です。

(大型のカブトムシは、オリジナルの極厚プラボトルに保管してます。)

最後にラベルを貼って完成です。

ラップしておくと虫などの侵入を防いだり、汚さずに保管できます。

 

最後に。

私自身、生き虫を殺して標本を作ることは出来ません。

寿命や病死・事故死?した固体で完璧な標本を作るのも困難です。

人それぞれ考えは違うので方法は問いませんが、標本で残して見てもらう事は、大切なことなので

標本を作ったことのない方は、ぜひ挑戦してみてください。