アンタエウス の 産地別飼育方
the ecology of antaeus

 

はじめに

アンタエウスは世界各国に生存していて、日本には国別(詳しい産地別)で入って来ます。

産地に関しては 怪しい とか色々言われる場合が有るのですが、それを言い出したら

自分で採ったアンタエウスしかブリード出来ない状況なので、業者さんを信用するしかないです。

(国別では間違いないと思います。オークションでは時々?な出品も・・・・。)

一般にアンタエウスは低温飼育種と言われていますが、産地によって温度差がかなり有ります。

菌床やマットなどの餌交換のタイミングも多少異なります。各国生態が違っているので仕方がないです。

ここでは、温度は20°c以下を低温 21°c以上を高温と定義します(以上以下でも限度は有ります。)。

産地に関しては、

ヒマラヤ系アンタエウス  (インド・ネパール・ブータン等)

インドシナ系アンタエウス (タイ・ラオス・ベトナム・ミャンマー・中国等)

マレーアンタエウス     (インドシナ系なのですが生態が全然違うので)

3つに分けて話を進めたいと思います。


飼育温度(幼虫)

我が家の飼育温度は18°に設定してます。18°にしてからヒマラヤ系は90Upが出るようになりました。

産卵も冬場でもOKで、交尾さえさせればバリバリ産んでくれます。

インドシナ系は当たり外れが有って、孵化から羽化まで16ヶ月前後ぐらいまで行けば大きい個体が出ますが

6割ぐらいは早期羽化等引っ張りきれずにあまり大きくなりません。産卵も冬場は殆ど寝てしまう状況です。

マレーは全くダメで、産卵時期・菌床交換のタイミング等も有るとは思いますが大きい個体は出ません。

産卵に関しては、冬場でも他のインドシナ系に比べればOKで、低温の方が産卵数は多いです???

結果

ヒマラヤ系は  16°~ 18°(90UP狙うなら)

インドシナ系は 19°~ 21°(80Up狙うなら)

マレーは      20°~ 22°(78Up狙うなら)

ぐらいがベストではないかと思います(あくまでも参考とお考え下さい)。

☆ ただし、日本には四季が有るので(温度差)外気温の影響をモロに受けてしまいます。

   我が家でも夏場は16°に下げたり、冬場は20°に上げたりして対応してます。

普通の部屋でエアコン管理の方は季節季節で温度を変えたりする応用が必要になると思います。

全部良いアンタエウス出したいと思われている方は、20°設定がお勧めです。

我が家も昔?20°設定の時は、ヒマラヤ系で今より数は少ないですが80後半は出てたし

インドシナ系も全産地80Up出たし、マレーは81まで出ました(その当時はギネスだったかも)。

他のクワカブも全種対応出来て産卵も生まない種は無いと思います。

我が家の18°設定はアンタエウスに合せてるのではなくて、実は使用している菌床に合わせた温度です。

MT160は18°ぐらいが菌の状態や動きが一番良いです。なので18°設定を変えるつもりは有りません。

次に記しますが別の方法でインドシナ系マレーを平均して大きく育てたいと思ってます。

ヒマラヤ系インドシナ系の中には例外もあって、

ヒマラヤ系  (ブータン全般・インド/ミゾラム州/ナガランド州/マニプール州は+~3°までならOK)

インドシナ系 (ミャンマー全般・中国/チベット自治区は-~2°までならOK)

上記ヒマラヤ系はクワ友が21°設定で良いアンタエウス出してます。

上記インドシナ系は我が家でも良いアンタエウス出てます。

この記の最後に、

いくら設定温度を決めてもブリードルーム全体が一定温度になる訳では有りません。

我が家では温度計は12個置いてその都度菌糸ビンを置き換えたり、同じ棚で上中下に分けて置いています。

これらの方法も多少有効かと思われます。


幼虫飼育方法(菌床・マット交換のタイミング・産卵時期)

今までの我が家の幼虫飼育方法は、 1~2令はマットでギリギリまで引っ張る が基本で、90cc~120ccの

プリンカップに目の細かいマットをガッチガチに詰めて(柔らかい容器に均等にガチ詰するにはテクニックが

必要になります)3ヶ月から最高6ヶ月引っ張ります。産卵セットで種♀を早めに外す事が出来ればそのまま

セットで引っ張ります(ただし、1頭でも3令幼虫が出たら即取り出して下さい)。

この飼育方法は、アンタエウスの幼虫は2令の後期まではマットも菌床も長さ・太さがあまり変わらないので

それなら、菌床よりマットの方が加令の期間を延ばす事が出来るからです(期間を伸ばす理由は次に記します)

ヒマラヤ系はこの飼育方法にバッチリハマります。後の菌床交換を手抜きしなければ我が家でも全産地 

86Up出てます。

マレーは全くダメです。1~2令をマットで引っ張ると3令で伸びません。早めに3令に加令して3令で引っぱた方が

良い結果が出ると思います。なのでマレーはマットで引っ張るより即菌床にブチ込むことをお勧めします。

インドシナ系は上記2つの中間で、当たり外れが有ってむつかしいのですが1ヶ月から最高3ヶ月ぐらいは

マットで引っ張ることをお勧めします。

マットで3ヶ月から最高6ヶ月と載せましたが、温度設定によっては無理なのでエアコン管理等の出来ない

環境で飼育されている方も含めて、産地別で産卵時期を変える方法をお勧めします。

先ほど載せましたが、日本には他国には無い程の温度差の四季が有ります。中でも一番問題なのが

夏場です。幼虫は即加令しますし、低温管理していても外気温の影響で菌床の劣化も早いです。

引っ張りたい期間にいかに夏場を外すかが鍵になると思います。

ヒマラヤ系は1~2令を夏場に持っていかない方が良いので、7月から8月半ばぐらいにセットして

9月から10月半ばには1~2令で取り出しするのがいいと思います。

3令になって3ヶ月から6ヶ月ぐらいで次の年の夏場にかかりますが、3令なら乗り切れる確率が高いです。

エアコン等使用してない方でも羽化までの期間が1年を越えるぐらいになるのでいい個体も出ると思います。

マレーは早めに3令にした方が飼育しやすいので、4月から5月半ばぐらいにセットして6月から7月半ばには

1~2令で取り出しするのがいいと思います。エアコン等で低温にできる方は2~3ヶ月前からでもOKです。

インドシナ系は中間的なのでどちらでもOKです。7月セットでベトナム/モンカイ87が羽化しましたし

4月セットではモンカイ以外の産地全部自己ギネスです。

ただし、日本各地気候も違うし同じ部屋でも場所によって、風の流れによっても状態は変化します。

菌床自体も生きているので一本一本皆状態が異なります。

とにかく夏場をうまく乗り切る ぐらいの感覚で参考にして頂ければ幸いです。


孵化から蛹化までの期間

アンタエウスの幼虫に限らず、クワカブの幼虫は同じ量の餌を食した場合、蛹化までの期間が少しでも

長い方が縮が少なくなります(量を食して長い方がベストです)。我が家でも18ヶ月~24ヶ月かかって

蛹化した幼虫は100%デカイです。各産地の生態を理解して延ばせる幼虫期間は出来るだけ延ばして

蛹化までの期間を長くすることが大きい生体を出す一番の早道だと思います。

(今は添加剤等で幼虫を大きくすることが主流になっていますが、ここで記していることは無添加が基本です。

 添加剤のことについては次に記します。)

幼虫期間を延ばす方法として超低温管理(冷蔵庫等)などの方法もありますが、その環境で数多くの幼虫を

ブリードできる方は限られます。少量なら可能かも知れないので試してみることも一案です。

☆ただし、幼虫期間を伸ばすに当たり注意することが一点あります。

  とても重要な事なので理解の程をよろしくお願いします。

延している期間に幼虫の体重を落さない事! 最低限体重をキープしないと少しでも体重が落ちると

蛹化の時縮が大きくなります。無駄に糞をさせない事が最重要です。

延している間にオガが乾燥しすぎたり、劣化して大量の水分が発生したり(アンタエウスは根食いのクワガタ

なのである程度の劣化は逆に良い結果が出る事も多々あります)、良い状態でない餌を食させると体重が

即落ちてしまいます。このような状態でも期間を延ばすことは可能ですが、一旦体重が落ちると元に戻す事すら

難しく、全てが無駄に終わってしまいます。超低温管理でも中途半端な温度だったらアンタエウスは低温に

強いので、 少しづつ動けるけど餌はあまり食せない状態になり糞だけはする という最悪状態になったり

適温状態で体重をキープ出来ていても、温度を戻す時に急激な温度変化により糞を大量にしたり

3令の中期以降だと蛹化する可能性も有ります。ただ超低温管理だと菌床の状態は保ちやすいという

利点も有ります(中途半端な温度とは、夏場なら10°ぐらいでもアンタエウスの幼虫は動くし冬場は12°なら

動く産地の幼虫もいます)。

幼虫期間を引き延ばすという事は、難しい事の様に記しましたがマメに管理さえすればそんなに難しい事では

無いと思います。 とにかくよくマメに見てやる この基本的な事が出来ればOKです^^

この記の最後に、

夏場はどうしても幼虫の加令等成長を抑えることが難しく、普通のブリードルームだと12°~ 14°ぐらいに

設定しないとダメなくらいです。実際無理だし、その温度設定にしても外気との温度差により幼虫が食した

部分に水分が溜まりやすくなったりとお手上げ状態です。この際夏場は諦めて 冬場勝負 です。

冬場だったらエアコン等の環境が無い方でも、工夫次第ならいけるので大丈夫です。

まだ他にも幼虫期間を延ばす方法は有ると思うので、この記を参考にして頂き工夫して頂ければ幸いです。


菌床・添加剤

アンタエウスはマットでも、マメにマット交換して幼虫期間を延ばしてやれば立派な生体が羽化して来ますが

面倒だし、やっぱり菌床飼育が主流です。ここではアンタエウスで使用されてる代表的な?

4種の菌床を記したいと思います。

☆オオヒラタケ  アンタエウスとは相性が良くてアンタエウスユーザーの7割がオオヒラタケを使用されてると

           思います。時季によっておおひら茸が生えてきて処理に困る事以外は使い勝手は良くて

           2度食いまでならOKで菌の持ちは良い方です。ガチ詰めが基本なので容器との相性は

           ガラス瓶が一番です。 無添加状態でもヒマラヤ系で80後半までは出るのですが、90は

           添加剤を使用しないといかないと思います。インドシナ系は当たり外れが多少有ります。

           マレーとの相性はバッチリで菌床の中では一番良いと思います。

           羽化までは平均3~4本ぐらいだと思いますが、添加剤の使用によっては4~5本に

           なると思います。ちなみに我が家でオオヒラタケを使用している時は平均2本上げで

           ヒマラヤ系は89、インドシナ系は84、マレーは81が自己ギネスでした。

☆カワラタケ   即効性は一番で相性で言うなら良いと思います。ですが1度食いが限度で3か月前後の

            菌床交換が必要になると思います。ガチ詰めの方が菌が持つので容器はガラス瓶が

            良いと思います。我が家ではデータが少ないので絶対とは言えないですが、

            初めて使用した時は2か月前後でバカでかい幼虫が出現して驚きました。が、

            2週間放置したら縮んでいてがっくりしたのをよく覚えてます。

            結果、ヒマラヤ系は3産地ブリードして最高83、インドシナ系は2産地で78が最高でした。

            菌床は4本上げで、普通では5~6本いるのではないかと思いますが結果はその方が

            良いかも知れません。マレーは使用して無いですが、もしかしたら良いかも知れません。

            いずれにしても90Up出すのは至難の業だと思います。

☆ヒラタケ    上記2種より菌の持ちは良いのですが、無添加だと幼虫が大きくなりません。

            知り合いのブリーダーでヒラタケを使用している人がいますが、添加剤を大量に

            使用してます。良い生体は出てますが、最終的に羽化まで5~6本かかるそうです。

            業者さん自体オオヒラタケなどより添加剤を多く入れて販売されていると思います。

            私個人の考えでは、アンタエウスには不向きではないかと思います。

☆MT160    我が家で使用している菌床です。菌自体の持ちはNO.1で、3度食いまでは余裕でOKです。

           1本で羽化まで持って行ける菌床です。ガチ詰めではあまり結果が出なくて、容器的にも

           ガラス瓶よりプラ容器系の方が有効です。縮みは一番少なくすみます。これまでヒマラヤ系で

           90Up6産地7個体出たのですが、最終菌床交換時の体重は40g~43gです。

           私的にアンタエウスに一番合った菌床だと思ってます。

           ですが、使用方法が異常に難しく、挫折されたブリーダーも多数おられます。

           なので、絶対のお勧めではないですが、無添加で90Up狙える唯一の菌床だと思います。

           ヒマラヤ系は91、インドシナ系は87出てますが、マレーは77が最高でマレーを

           大きくする事がこの菌床の課題です。

我が家でも添加剤飼育は十数年前に一度挑戦して見たのですが、♂40頭羽化させて皆極太でメッチャ

喜んだのですが、最終的に1年以上生きてまともにブリード出来た個体が一割程度で、他は訳も分からず

死んだり種が無かったりで、それ以来添加剤は使用してません。私のブリード理念は長く累代する事が

一番なので。簡単に大きくなったり太くなる事は異常に魅力が有る事なので否定はしません。

ですが、いろいろな直接幼虫に影響力の有る添加剤を使用すると生命力が落ちる可能性も有るし

蛹化不全の危険も高まります。当然菌床の劣化も早まるので普通より本数を多く使用して無駄な糞も増えて

添加剤のお蔭で太ったのに±0になる可能性も・・・・。それを防ぐために超低温飼育されている方もいます。

でも普通に趣味でやられてる方は無理です。どうしても言われたらミネラル系の栄養素をお勧めします。

ミネラル系なら直接幼虫に影響が有る事は考えにくいし、菌床の廻りが異常に良くなるのでその効果で

幼虫が大きくなると思います。我が家でも一度エフィー○+を使用してみたら菌の廻りが異常に良くなって

驚きました。ただ量の割に高価なのでそれっきり使用して無いです。

この記の最後に、

オオクワ系の幼虫は高さのある容器の方が大きくなる確率が高いです。高さの無い容器で平均して大きい

個体を出されている方は添加剤をたくさん使用されていると思います。これまで記した事に近い事が出来れば

無添加に近い状態でも太く大きい個体が出せると思ってます。極太の個体を購入したり譲って頂いても

その個体が添加剤の影響で極太になった個体なら、同じような添加剤を使用しない限り遺伝子では無いので

同じような極太にはなりません。添加剤の影響を受けてないアンタエウスの方が添加剤を使用しても、

使用しなくてもオリジナルの極太をブリード出来る確率が高いと思います。

もう一度言いますが、添加剤を否定・批判しているわけではありません。菌床もこれを使用して下さいと

言っているのでは決して無いです。各自の自由だと思ってます。

ただただあくまで参考にして頂ければと思います。


さいごに

これまで記したことは、アンタエウスだけじゃなくて他の全種にも応用が効くと思います。

要はブリードしたい種類の最低限動ける温度(低温)からストレスがギリギリかからない最高温度(高温)

を把握出来ればOKで後は夏場の辛抱だけで色々な種がブリード出来ると思います。色々試みて見て下さい。

 

私自身アンタエウス自体はブリードが簡単な種だと思ってますが、一般的に低温飼育出来ないと無理とか

思われている方がまだまだおられます。オオクワやオオヒラタなどと比べれば低温ですが、それらと近い

温度帯でも工夫一つで十分カッコイイアンタエウスが作出出来ます。今まで敬遠されてた方もアンタエウスの

魅力にハマってもらいたいと思い、パソコンの打ち込みが苦手な私が今回必死で記させて頂きました。

一様、今までアンタエウスのブリードした産地の数と(今でも100産地以上累代してます)アンタエウスに関して

実験して失敗した数は、日本一の自負が有ります。地域や置き場所などでも変わると記しましたが、

応用して頂ければある程度上手くいくと思います。いろいろな観点から記しているので、そこはご理解の程

よろしくお願いします。実はまだまだ秘策や方法は有るのですが、記しきれません。

何か有りましたら問い合わせ下さい。私で分かることならお答えします。

最後に私のクワ友のアンテの残党さんの アンテライフ リンクしておきます。成虫管理から幼虫飼育その他

アンタエウスの事についてメチャクチャ親切丁寧に記して有ります。ぜひご覧下さい。